屋根の劣化の見分け方

自分の家の屋根が傷んでいるかどうかは、屋内に雨漏れしてこない限りなかなか確認することはないかと思います。

屋根の劣化具合を確認する方法と葺き替えをする場合の概要をお話しします。

まず、あなたの家の屋根は何で葺いてありますか?大きく分けて「瓦屋根」「スレート屋根」「鋼板屋根」「コンクリート陸屋根」に分類できます。

屋根の点検

まず、屋根が瓦で葺かれている場合、瓦の葺き方は2種類に分かれます。「土葺き」と「空葺き」です。昭和中後期以前の建物で1度も屋根を葺き替えてない場合は土葺きである可能性が高いです。目視で確かめる方法は、小屋裏がのぞける場合は小屋裏を覗いてみましょう。小屋裏から屋根の裏側を見て、垂木の上に敷かれている板の隙間から土が見えていれば土葺きです。同時に屋根面に外部の光が漏れている箇所がないかも確認してください。屋根面から光が漏れているということは瓦の間に隙間があり、雨漏れしている可能性が高いです。

屋根面を見て垂木の上の板が前面的にしっかり張ってある場合は空葺きの可能性が高いです。土葺きに比べると瓦がしっかり留まっているため耐久性は高いです。

次に外側から屋根に登って瓦を見てみましょう。危ないと思った時は屋根にはしごを掛けて覗いてみるだけでもいいです。瓦の浮きや割れがないかを確認してください。特に棟の瓦は嵐や台風で損傷することの多い部分です。瓦が一部なくなっていたり、ずれたり欠けたりしている場合は雨漏れにつながる可能性が高いです。また、瓦の上に苔が生えたり植物が生えたりしている場合、瓦が劣化して防水機能が失われています。

瓦屋根を葺き替える場合、割れている一部だけを差し替えで葺くことができます。ただ、土葺きの場合は瓦の定着力が弱いため今後も劣化が進んだり、台風の際に瓦が飛んだり落ちたりする可能性が高いです。前面的に空葺きや鋼板葺きに葺き替えることをおすすめします。

次に鋼板葺きの場合も、材料によっていくつか種類が分かれます。主な種類で分けると「ガルバリウム鋼板」「カラー鉄板」「銅板」とったところでしょうか。昭和頃の建物にはカラー鉄板がよく使われており、それより前の建物には銅板葺きも見受けられます。ガルバリウム鋼板が屋根材として定着したのはそんなに昔ではありません。まず、銅板葺きの場合は酸性雨による穴あきを確認する必要があります。屋根面を見て、雨がよく当たると部分や雨水がたまりやすいところの表面をよく確認してください。銅板が薄くなり穴あきがあれば下の野地板に雨水が漏れているため葺き替えが必要です。現時点で穴があいてなくても表面がもろくなっている部分がある場合は近いうちに穴が開く可能性が高いため、早めに葺き替えることをおすすめします。葺き替える場合は現時点で価格と耐久性のバランスが最もよいガルバリウム鋼板がおすすめです。銅板で葺き直すこともできますが、今後もまた酸性雨でいずれ穴が開く可能性があります。

カラー鉄板の場合も屋根面を確認し、表面の塗装が薄くなり赤錆があるようだといずれ雨漏れにつながります。この場合もガルバリウム鋼板への葺き替えがおすすめです。

ガルバリウム鋼板はあまりサビが出にくい屋根材ですが、それでもサビが発生することがあります。たとえば屋根を葺く際に切断した切り口なんかはサビが発生します。ただし、ガルバリウム鋼板は非常に耐久性のある素材のため、サビが発生している部分にコーキングをするなどして保護することでしばらく使い続けることが可能です。

なお、現在鋼板葺きになっているものを瓦葺きに変更する場合は注意が必要です。屋根材の重量がとても重くなるため、垂木や野地板を補強してから葺かなければいけません。

最後にコンクリートの陸屋根の雨漏れを確認する方法です。コンクリートの屋根の場合、天面に防水処理がされていることがほとんどかと思います。

古い物件では防水処理がされていないこともまれにありますが、その場合はコンクリート表面にクラックがないか確認しましょう。クラックがある場合はそのクラックからコンクリート内部に水が浸透し中の鉄筋が腐食している可能性があります。ただちに天面の防水処理が必要です。経年している場合は建物自体の耐久性がすでに落ちている可能性が高いため、建物自体の取り壊しを検討したほうがよいでしょう。

天面に防水処理がされている建物の場合、防水面に浮きや破れがないかを確認します。特に損傷しやすいのは防水面を継いでいる部分、排水が集まる排水溝の周囲、コンクリート立ち上がりの入り隅などです。浮きや破れがあった場合には、防水層とコンクリートの間に水がたまり、コンクリートにクラックが入っている場合には躯体内部まで水が侵入する恐れがあります。

一度防水層をはがしてから再度新たな防水処理をする方法が一般的です。

このように、屋根は比較的長い年数保つように作られているものの、定期的な点検と葺き替えの検討が必要不可欠です。昨今は異常気象も多いため、特に古い土葺きの瓦屋根の家は自分の家が他人へ危害を加えることがないよう、状況を確認し安全な屋根にすることが重要です。